庵治の主な養殖

のり養殖(浮き流し式)

採 苗
  春~夏、ノリは糸状体という非常に小さな糸状の形で、カキ殻などの貝殻に入り込んで生活をしている。糸状体のついたカキ殻を培養し、秋になると糸状体は胞子を出すので、10月に陸上水槽に入れ、胞子をノリ網に付ける。これを採苗といい、胞子の付いたノリ網を種網という。
育 苗
  次に、種網を海面で10枚程度重ねて展開し、ノリが約2㎝になるまで約20日間育苗する。育苗中は毎朝、ノリ網を海面から揚げて干し、雑藻などの付着を防ぐ。育苗したノリ網は、一旦取り上げ、海水が適当な温度に下がるまで冷蔵庫に入れ、約-25度で保存する。
 そして、11月中旬にかけ、海水温が18度程度に下がると、今度は1枚ずつノリ網を張り込む。これを本張りという。本張りしたノリは 10~15日すると長さ20~25㎝に成長するので、刈り取る。ノリは、その後も成長するので、同様に日にちを待って刈り取る。2~3月まで収穫が続く。
施 設
  本張り養殖の施設は、ロープ、フロート、錨で海面に枠をつくる。各枠にノリ網を1枚ずつ展開して張る。1セットに数10枚から100枚程度のノリ網を張る。漁場に間隔をあけてセットを設置する。1枚のノリ網の大きさは、約1.5m×18mで網目一辺15㎝。
加工法
  収穫したノリは陸上の加工場に運び、水洗い、細切等を経て、全自動乾燥機で約19×21㎝の乾ノリ(板ノリ)にして出荷する。
漁 期
  海面での養殖は育苗、本張りを含め10月1日~3月31日。

わかめ養殖(延縄式)

種 苗
  春、ワカメは遊走子を通称「め株」と呼ばれる所から出す。そこで、め株を水槽にいれ、遊走子を放出させた後、その水槽に種糸(直径4㎜、長さ10数m)を入れ、採苗する。庵治では、徳島県からこの種糸を購入して、養殖を行う。
養殖法
  11月頃、購入した種糸を3~5㎝に細かく切り約50~80㎝間隔でロープ(幹縄)に差し込み、海面に張り込む。ワカメは1つの種糸から数10本も伸びる。2~4月頃にかけて刈り取る。
施 設
  直径30㎝の球形のフロートを多数使用し、海面近くにロープ(幹縄)を設置する。
加工法
  収穫したワカメは、持ち帰って、生のままで出荷する。一部は湯に通した後、塩を入れ塩ワカメとしたり、乾燥させて、干しワカメとして出荷する。
漁 期
  養殖期間は11月1日~5月31日。

小割式魚類養殖

概 要
  現在、庵治ではハマチ、カンパチを中心に、マダイ、トラフグなどが養殖されている。ヒラメは陸上水槽での養殖も行われているが、その他の魚については、すべてが小割式の方法で養殖されている。小割式魚類養殖とは、海面に小割生簀を設置し、その網の中に魚を入れ、養殖する方法である。
施 設
  庵治は鋼管製などの枠をフロートで浮かし、それに小割網をつり下げる筏式で一辺10mの正方形で、網の深さは3~4m。対象種や魚の大きさによって、使用する網の目合、施設の規模、構造等が多少異なる。